54歳からの人間関係は身軽に|“答え合わせ”のいらない、今に合った関係

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54歳になって、ふと考えるようになりました。これから先、誰とどんなふうに付き合っていくんだろう、と。

仕事も子育ても一区切りつきました。30年理学療法士として働いてきて、シングルで二人の子を育て上げて、気づけば自分の時間がぽっかりと手元に戻ってきています。身のまわりのモノを手放し、住まいまで手放して、暮らしはずいぶん身軽になりました。そうやって「これからの自分」を考えたとき、最後に残ったのが人間関係でした。

これからのコミュニティを、どう広げていけばいいんだろう。学生時代からの友人を大事にすべきなのか、それとも新しい友達を作っていくべきなのか。今日はそんな、答えの出にくい話を書いてみます。

学生時代の友人がくれる「安心」

まず、学生時代からの友人には、ほかでは得られない安心感があります。

同じ時代を生きてきて、同じような価値観を持っている。多感な時期を一緒に過ごし、似たような速さで歳を重ねてきた。だから、多くを説明しなくても通じ合えるし、何より「気をつかわなくていい」。会えばすぐにあの頃の空気に戻れる、あの感じ。あれは確かに、心がほどけるものです。

長く付き合ってきたという事実そのものが、信頼の証のようにも思えます。何十年も切れずに続いている関係は、それだけで貴重だと、頭ではわかっています。

でも、その安心には「重さ」もある

けれど最近、その安心の裏側にある「重さ」のようなものも、正直に感じるようになりました。

学生時代って、人間としてまだ未熟な時期なんですよね。私自身もそうでした。よく考えずに誰かを傷つけてしまったこともあれば、ささいなことで深く傷ついたこともある。お互いに余裕がなくて、相手の事情まで思いやれなかった。そういう未完成な時期に始まった関係を、私たちはそのまま今日まで持ってきています。

しかも、そこから長い時間が空いています。間が空けば空くほど、それぞれの中で「思い出」が育っていく。同じ出来事のはずなのに、覚えている内容が違っていたり、いつのまにか自分なりの解釈が事実のように固まっていたり。本当にそれが事実だったのか、もう誰にもわからないということが、いくつもあります。

あのとき、お互いに納得できていなかったことも、きっとあったと思います。でも、その「答え合わせ」をしないまま、なんとなく笑って付き合い続けている。その曖昧さが、ときどき小さなしこりのように残るのです。

今を一緒に歩く友人の「軽さ」

それに比べて、今の時代を共に歩いている友人との関係は、ずっと軽やかだと感じます。

いちばん大きいのは、蒸し返してくるものが少ないということ。共有している過去がないぶん、「あのときああだった」という重たい記憶を持ち出されることがありません。お互いに「今の私」「今のあなた」として向き合える。過去の自分を引きずらずにいられるのは、思っていた以上に身軽なことでした。

そしてもうひとつ、最近になって気づいたことがあります。今の友達とは、最初から「大人同士」として出会っているということです。

学生時代の関係が「未熟な時期に始まった関係」だとしたら、今の友人は「成熟してから始まった関係」です。お互いにちゃんと分別があって、適度な距離感も保てる。相手の領域に土足で踏み込まない。甘えすぎず、遠慮しすぎず、ほどよい間合いを最初から持っている。だからこそ、かえってうまくいきやすいのだと思います。

若い頃の友情は、距離が近いことが愛情の証のようでした。でも今は、適度な距離があることのほうが、長く心地よく続く秘訣なのかもしれません。

走る仲間という、「今」でつながる関係

私にとって、その「今でつながる関係」のいちばんわかりやすい例が、ランニング仲間です。

走る場所で出会う人たちとは、相手の過去を知りません。どんな仕事をしてきたか、どんな人生を歩んできたか、最初は何も知らない。ただ「今、一緒に走っている」という事実だけでつながっています。それでも、いやそれだからこそ、不思議とまっすぐに付き合える。

理学療法士として長く体と向き合ってきた経験から言っても、体を動かす場で生まれるつながりには独特の軽さがあります。一緒に汗をかいて、同じゴールを目指して、終わればさっぱり解散する。べたつかない関係だからこそ、また会いたくなる。

モノを手放して暮らしが身軽になったように、人間関係も身軽でいたい。今の私は、そう思うようになりました。

どちらが正解、ではなくて

もちろん、学生時代の友人を否定したいわけではまったくありません。あの時代を一緒に過ごしてくれた人たちは、かけがえのない存在です。答え合わせをしないまま、それでも笑い合える関係には、それはそれで愛おしさがあります。

だから、どちらが正解という話ではないのだと思います。

ただ、54歳になった今の私が大事にしたいのは、「答え合わせのいらない、今の関係」のほうです。過去を背負わず、お互いを大人として尊重し合える。蒸し返すものがなくて、ただ「今」を一緒に楽しめる。そういう軽やかなつながりを、これから少しずつ増やしていけたらいいなと思っています。

友達は、いくつになっても新しく作っていい。54歳のいま、私はそう信じています。

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