シューズのサイズが合っているはずなのに、なぜ足が痛くなるのか
「いつも26.5cmを買っているのに、なぜか足が痛い」
「試着したときは大丈夫だったのに、走り始めると爪が当たる」
こういう経験、ありませんか?
ランニングシューズのサイズ選びで多くの人が見ているのは「縦の長さ」だけです。でも足のフィット感を決める要素は縦だけではありません。
私は理学療法士として長年、足のトラブルを抱えたランナーを見てきました。そして自分自身も月200km以上走る市民ランナーです。シューズ選びで失敗している人のほとんどが、縦サイズ以外のポイントを見落としています。
この記事では、足トラブルを防ぐために私が試着で必ずチェックしている5つのポイントをお伝えします。
①縦サイズ(捨て寸):「実寸+約1cm」が基本

まず縦サイズの基本から確認しておきましょう。
ランニングシューズは、裸足の実寸より約0.5〜1cm大きいものを選ぶのが基本です。この余裕のことを「捨て寸」と言います。
なぜ余裕が必要かというと、走っているあいだ足は前後に動くからです。着地のたびに足が靴の中でわずかに滑り、つま先が前に当たります。特に下り坂では衝撃が大きく、捨て寸がないと爪の下で出血が起きて黒爪になります。
また長時間走ると足がむくんで実寸より大きくなるため、ぴったりサイズだと後半に締め付けが出てきます。
ただし、「大きければ大きいほど安心」ではありません。1.5cm以上大きいと靴の中で足が動きすぎてマメや靴ずれの原因になります。目安はつま先に指1本分(約1cm)の余裕です。
②横幅(ワイズ):縦が合っていても幅が合わなければ意味がない

シューズを選ぶとき、縦サイズは気にしても横幅を確認しない人は多いです。しかし足のトラブルの原因として、縦サイズよりむしろ横幅のミスマッチのほうが多いと私は感じています。
幅が狭すぎる場合、親指や小指が内側から圧迫されます。外反母趾がある人は特に親指の付け根が当たって痛みが出やすく、走行距離が増えるにつれて症状が悪化することがあります。小指側が圧迫されると内反小趾(こちらも足指の変形)を引き起こす原因にもなります。
幅が広すぎる場合、足が靴の中で横にずれます。すると摩擦が生じてマメができやすくなり、靴紐をきつく縛って対処しようとする→今度は甲が圧迫される、という悪循環に陥ります。
試着のときは親指と小指の付け根(足の一番幅広い部分)が靴の内側に当たっていないか、逆に余りすぎていないかを確認してください。立った状態で確認するのがポイントです。座っていると足幅は実際より小さく見えます。
③アッパーの柔らかさ:足指の自由度を左右する

アッパーとは、靴底(ソール)より上の部分、足を包んでいる素材のことです。ここの硬さが「足指がどれだけ自由に動けるか」を決めます。
アッパーが硬い靴は、足指の動きを制限します。足指はもともと地面をつかんで踏み込む役割を持っているのですが、硬いアッパーに包まれると指が動けず、その機能が発揮されません。足裏の筋肉が使われにくくなり、疲労が蓄積しやすくなります。
アッパーが柔らかい靴は、足指の動きを妨げません。接地のたびに足指がしっかり機能するため、足裏の筋肉が使われ、長距離でも疲れにくくなります。
確認方法はシンプルです。試着したまま、つま先の部分を上から指で押してみてください。ぐにゃっとたわむなら柔らかめ、あまり変形しないなら硬め、という判断ができます。
足トラブルが多い人、足指の変形が気になる人には、柔らかいアッパーの靴をすすめることが多いです。
④かかとの深さ(ヒールカップ):ホールドが弱いと推進力まで逃げる
4つ目はかかとのフィット感です。
シューズによってかかと部分の「深さ」が違います。かかとをしっかり包み込む深めのものと、浅くてかかとが出やすいものがあります。
かかとが浅い靴は、走っているあいだかかとが浮きやすくなります。すると靴の中で足が前後に動いて、つま先への衝撃が増します。かかとの皮膚が靴に擦れて靴ずれも起きやすくなります。
かかとが深い靴は、しっかりホールドされて安定感が出ます。ただし人によってはかかとの骨の出っ張り(踵骨隆起)に硬いヒールカウンターが当たって痛みが出ることがあります。
かかとのフィットは推進力にも影響します。かかとがぶれると蹴り出しのエネルギーが逃げてしまうためです。試着時に靴のかかと部分を親指で押してみて、硬さと深さを確認する習慣をつけてください。
⑤ソールの硬さ:自分の走りに合った反発を選ぶ
5つ目はソール(靴底)の硬さです。
カーボンプレートを入れた反発の強い厚底シューズが増えたことで、ソールの選択肢は以前よりずっと広がりました。反発が強いものは推進力が得やすい反面、足への負担も増えます。沈み込みが大きいクッション系は衝撃を吸収しやすいですが、長距離では疲れやすいと感じる人もいます。
大切なのは「流行っているから」ではなく、自分の足の筋力や走力に合ったソールを選ぶことです。
感触は実際に走ってみないとわかりません。お店の中を少し走るだけでも、反発の強さや足との相性はある程度つかめます。試走会を開催しているショップも多いので、積極的に参加してみるのもおすすめです。
主要メーカーの特徴:どのブランドが自分に合うか
メーカーによって靴を作るときの「足型(木型)」が異なり、同じサイズ表記でも足との相性は大きく変わります。
ASICS(アシックス)
日本人の足型をもとに開発されており、幅広・甲高の足にも合いやすいのが特徴。安定性を重視したモデルが多く、初心者や足トラブルのあるランナーにすすめやすいブランドです。
Mizuno(ミズノ)
こちらも日本メーカーで幅広めの設計。「Wave(ウェーブ)」と呼ばれる独自の素材が衝撃を分散し、耐久性の高さも特徴のひとつです。
New Balance(ニューバランス)
ワイズ(横幅)の展開が2E・4Eなど豊富で、足幅が広い人に選ばれやすいブランド。幅が合わずに困っている人は一度試してみる価値があります。
Nike(ナイキ)
カーボンプレート搭載の厚底シューズ(Vaporfly・Alphafly)で有名。靴の作りがやや細めで、幅広の足には窮屈に感じることも。足幅が標準〜細めの人に向いています。
adidas(アディダス)
「Boost(ブースト)」素材のクッション性が高く、長距離でも疲れにくい設計。Nikeよりやや幅広めの作りです。
HOKA(ホカ)
厚底・最大クッションが特徴のブランド。着地時の衝撃を大幅に吸収するため、膝や関節に不安があるランナーにも向いています。アッパーは比較的柔らかいモデルが多いです。
On(オン)
スイス発のブランド。「CloudTec(クラウドテック)」という独自のソール構造で軽量かつ反発感が強いのが特徴。靴の作りはやや細めです。
ひとつ補足すると、足幅が広い・外反母趾・浮き指がある人は日本メーカー(ASICS・ミズノ)またはNew Balanceから試すのがおすすめです。欧米メーカーは細めの作りが多く、幅の問題が出やすい傾向があります。
サブ4レベルのランナーにおすすめのモデル
「どのモデルを選べばいいかわからない」という方のために、サブ4レベルのランナーに特に向いている定番モデルをまとめました。安定性とクッションのバランスが取れたモデルを中心に選んでいます。
| メーカー | モデル | 特徴 | 楽天 |
|---|---|---|---|
| ASICS | GT-2000 | 安定性重視・足トラブルがある人向け | 楽天で見る |
| ASICS | Gel-Kayano | 最上位安定モデル・クッション厚め | 楽天で見る |
| Mizuno | WAVE RIDER | クッションと反発のバランスが良い | 楽天で見る |
| Mizuno | WAVE INSPIRE | 安定性強め・オーバープロネーション向け | 楽天で見る |
| New Balance | Fresh Foam 860 | 幅広展開・安定性あり | 楽天で見る |
| Brooks | Adrenaline GTS | 安定性重視・長距離向き | 楽天で見る |
| HOKA | Clifton | 最大クッション・膝への負担が少ない | 楽天で見る |
サブ4レベルは「まだ足の筋力が完全に出来上がっていない段階」であることが多いため、クッションや安定性のサポートがあるモデルを選ぶのが基本です。カーボンプレート系の厚底シューズは、足の筋力と走力がついてから検討するのがおすすめです。
私が試着で確認している手順
以上の5つのポイントを、私は試着で以下の順番で確認しています。
1. 立った状態でつま先の余裕を確認する
座って試着しがちですが、立つと足が広がるので必ず立って確認します。特に扁平足の人はアーチが落ちているので、体重がかかると足がさらに広がります。
2. 親指・小指の付け根が当たっていないか確認する
幅のミスマッチはここで気づけます。指の変形がある人は骨の出っ張り部分が当たると傷になりやすいので、特に注意して確認してください。
3. アッパーをつま先側から押してたわみを確認する
柔らかさの目安になります。その後、靴紐を結び直して甲のフィット感も確かめましょう。
4. かかとを床につけたままかかとを引いて、浮かないか確認する
靴の中でかかとが動くようなら、サイズかヒールカップが合っていないサインです。
5. 実際に走ってみてソールの反発・沈み込みを確かめる
本来なら距離を走るのが理想ですが、お店の中を少し走るだけでも感触はわかります。試走会を開催しているショップも多いので、積極的に参加してみるのもおすすめです。
この5ステップを習慣にするだけで、シューズ選びの失敗はかなり減ります。
まとめ:「サイズ表記の数字」より「足全体がどう収まるか」で選ぶ
ランニングシューズのフィット感を決めるのは縦サイズだけではありません。
- 縦サイズ:捨て寸1cm前後を確保する
- 横幅:親指・小指が圧迫されず、かつ余りすぎない
- アッパーの柔らかさ:足指の動きを妨げない柔らかさか
- かかとの深さ:かかとがしっかりホールドされるか
- ソールの硬さ:反発・クッションの感触が自分の走りに合っているか
この5つがすべて合って、はじめて「サイズが合っている」と言えます。
足トラブルで悩んでいるランナーの多くは、縦サイズだけを見て選んでいます。次のシューズを選ぶときは、ぜひこの5つを試着で確認してみてください。
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