市販インソールに1万円払う前に知ってほしいこと|理学療法士ランナーが正直に答える3つの疑問

足と靴

インソール問題は、私の中で周期的にやってきます。足指の変形が気になりはじめたり、足裏にトラブルが出てくるたびに「やっぱりインソール入れようかな」と思う。でも、しばらく使っていると「入れても入れなくても変わらない気がする」となって、また関心が薄れていく。

そんな「なんとなく買って、なんとなく使って、なんとなく辞めた」を繰り返していました。

54歳の理学療法士ランナー、KIMIです。大阪マラソンを4時間10分で完走し、今は2026年の神戸マラソンでサブ3.5(3時間30分切り)を目標にトレーニング中です。

本業では患者さんの足を診ている私ですが、自分自身のインソール選びは長年迷走していました。「プロなのに?」と思われるかもしれませんが、それが正直なところです。だからこそ、今日は同じように迷っているランナーの方に、専門家目線で正直にお伝えしたいことがあります。

そもそもインソールって何をしているもの?

インソール(靴の中敷き)の役割を一言で言うと、「足と靴の間にあるクッションと、足の形を補正するもの」です。

もう少し詳しく言うと、3つの働きがあります。

  • アーチサポート:足の裏にある「アーチ(弓なりの形)」を支えて、崩れを防ぐ
  • クッション性の補完:着地時の衝撃を分散させる
  • 足の位置のガイド:踵や前足部の傾きを修正して、正しい重心に誘導する

足の裏には「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」という3つのアーチがあります。このアーチが正常に機能していると、歩いたり走ったりするときの衝撃をうまく吸収できます。ところが、疲労や筋力低下、もともとの足の形によってこのアーチが崩れると、足首・膝・股関節・腰といった、足より上の部分にまで影響が出てくるのです。

インソールはこのアーチを「外側から支える補助具」だと思ってください。筋肉を強くするのではなく、形を外から整えてあげるものです。

走れば走るほど、アーチには負荷がかかります。クッションがへたるのと同じように、アーチも繰り返しの衝撃で潰れやすくなっていきます。その負荷に負けない筋力と柔軟性があれば理想的ですが、それが難しい場合は、インソールによる物理的なサポートが助けになります。

疑問①「市販のインソールでも効果はある?」

結論:あります。ただし、条件があります

「市販品なんて気休め」と言う専門家もいますが、私はそう思いません。適切なものを選べば、市販のインソールでも十分な効果が出ます。

ただし、条件があります。

  • 自分の足の形に合っているものを選ぶこと
  • 目的(クッション目的なのかアーチ補正目的なのか)を明確にして選ぶこと
  • 合ったシューズに入れること(インソールだけ良くてもシューズが合っていなければ意味が薄れます)

逆に言えば、この条件が揃っていないと「高いお金を払ったのに何も変わらなかった」という結果になります。私がまさにそれでした。

足の形も見ずに「なんとなくアーチサポート型」を買い続けていたので、自分の足に合っていないインソールをずっと入れていたんですね。理学療法士でもこうなるので、専門知識がない方がなかなか合うものを見つけられないのは当然のことだと思います。

疑問②「どんな人に向いている?」

疑問②どんな人に向いている?扁平足とハイアーチの比較

扁平足(へんぺいそく)の人

扁平足とは、足の内側のアーチがつぶれて、足の裏がほぼ平らになっている状態です。立ったときに土踏まずがほとんど見えないのが特徴。

扁平足のランナーに起きやすいのは、オーバープロネーション(足が内側に倒れすぎる動き)です。着地のたびに足首が内側にぐらつくと、膝の内側や足底(足の裏)に負担がかかり、「足底筋膜炎」や「鵞足炎(がそくえん)」といった怪我につながることがあります。

扁平足の方には、内側のアーチをしっかり支えるアーチサポート型のインソールが向いています。市販品でも「プロネーション対応」「メディアルサポート」と書かれているものがあるので、そういった表記を目安にしてください。

ハイアーチの人

ハイアーチとは逆に、アーチが高すぎる状態です。足の裏が地面に接する面積が少なく、踵と前足部(指の付け根あたり)だけで体重を支えているような形になります。

ハイアーチのランナーはクッション性が低くなりがちで、足の疲労骨折や腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん=膝の外側の痛み)が起きやすいと言われています。衝撃吸収が苦手な足だからです。

ハイアーチの方には、アーチを持ち上げるサポートより、クッション性を補うインソールが向いています。ゲル素材やEVAフォームが厚めのものを選ぶと、衝撃が分散されやすくなります。

「自分はどっち?」の確認方法

簡単な見分け方があります。濡れた足で床を踏んで、足跡を見てください。

  • 土踏まずがほとんど映らない → 扁平足の可能性
  • 土踏まずが広く映る(足裏全体が写る) → 扁平足
  • 土踏まず部分が細くしか映らない → ハイアーチの可能性

ただしこれはあくまで目安です。足の形は静止時と動作時(歩く・走る)で異なることもあるので、気になる方は専門家に診てもらうことをおすすめします。

疑問③「高いインソールと安いものの違いは?」

疑問③高いインソールと安いものの違い

正直な答えをします

市販のインソールは500円〜3000円程度、スポーツ専用の高機能インソールは5000円〜1万円以上するものもあります。さらにオーダーメイドになると数万円になることもあります。

価格の違いは、主に以下の部分から来ています。

  • 素材の品質と耐久性:安いものはへたりやすく、数ヶ月で交換が必要になることも
  • アーチの形状の精度:高価なものほど、アーチの形状設計に研究が反映されている
  • 足型へのフィット感:オーダーメイドは個人の足型をとって作るため、最も個人差に対応できる

ただし、私が正直に思うのは、「高ければ合う」わけでも、「安ければ合わない」わけでもないということです。

足の形に合っていない1万円のインソールより、足の形に合っている2000円のインソールのほうが効果が出ることはよくあります。価格と効果は必ずしも比例しません。

オーダーメイドインソールが最も確実ではありますが、まず市販品で試してみて、それでも改善しなければ専門家に相談する、というステップを私はおすすめしています。いきなりオーダーメイドを作るより、自分の足の問題をある程度理解してから作るほうが、結果的に良いものができることも多いからです。

理学療法士として正直に言うと

インソールより先にやることがある

インソールより先にやること:タオルギャザー・ショートフットエクササイズ・カーフレイズ

ここからは少し耳が痛い話かもしれませんが、大切なことなのでお伝えします。

患者さんやランナー仲間から「インソール何がいいですか?」と聞かれるたびに、私がまず確認することがあります。それは「足の筋肉は使えていますか?」という点です。

インソールはあくまで「補助具」です。足のアーチを支える筋肉—特に足底の内在筋(ないざいきん)と呼ばれる細かい筋肉群—が弱いと、インソールで形を整えても根本的な解決にはなりません。インソールに頼り続けると、むしろその筋肉がさらに弱くなるという研究報告もあります。

私がランナーの方に「インソールを試す前に、あるいは並行して」やってほしいのは、以下のことです。

  • タオルギャザー(タオルを足の指でたぐり寄せる運動):足底の筋肉を鍛える基本エクササイズ
  • ショートフットエクササイズ:足のアーチを自力で引き上げる練習(やり方はまた別記事で詳しく書きます)
  • カーフレイズ(踵上げ運動):ふくらはぎと足首周りの筋力アップ

これらは地味で、即効性はありません。でも、足の筋肉を鍛えることは、どんなインソールよりも根本的な解決策になります。

もう一つ正直に言うと。痛みがある場合、特に「足底筋膜炎」「アキレス腱炎」「膝の痛み」などがある場合は、インソールを試す前に整形外科や理学療法士に診てもらうことをおすすめします。インソールで誤魔化しながら走り続けると、悪化することがあります。私自身もそれで痛みを長引かせた経験があります。

痛みがなく「もっと快適に走りたい」「疲れにくくしたい」という目的なら、市販のインソールを試してみる価値は十分あります。

KIMIが実際に使ったインソール3選:それぞれの特徴

「とはいえ、どれを選べばいいの?」という方のために、私が試したことのある市販インソールを3つ紹介します。

SUPERFEET(スーパーフィート)― アーチサポート重視の定番

私が今も使っているのがこれです。特徴は「硬めのアーチサポート」。足の骨格を外側からしっかり支える設計で、アメリカの足病医学をベースに開発されたインソールです。

  • 向いている人:扁平足気味で、足が内側に倒れやすい(オーバープロネーション)ランナー
  • 使い心地:最初は硬さを感じることがある。1〜2週間で慣れてくる
  • 価格帯:3,000〜5,000円前後

「インソールを入れた瞬間に違いがわかった」という方が多い一方で、硬さが合わない方もいます。まず試すなら短い距離から始めるのがおすすめです。

ソルボ(SORBO)― 衝撃吸収重視の日本製

日本生まれのブランドで、「ソルボセイン」という独自の衝撃吸収素材が特徴です。人体の軟骨に近い性質を持つ素材で、着地の衝撃をやわらかく分散してくれます。

  • 向いている人:ハイアーチ気味で足への衝撃が強いランナー、膝や腰に負担を感じている方
  • 使い心地:やわらかくて最初から違和感が少ない。初めてインソールを試す方にも入りやすい
  • 価格帯:1,500〜2,500円前後

スーパーフィートの硬さが苦手だった方が「ソルボは合った」というケースをよく聞きます。

ニューバランス サポーティブ リバウンド インソール ― 軽量・コスパ重視

ニューバランスが出している純正インソールです。軽量なクッション素材を使っており、シューズ全体の重さを増やしたくない方に向いています。

  • 向いている人:インソールを初めて試したい方、普段のランニングシューズのクッションを底上げしたい方
  • 使い心地:軽くて扱いやすい。アーチサポートは控えめなので、アーチ補正よりクッション補完が目的の方向け
  • 価格帯:1,500円前後

ニューバランスのシューズと組み合わせると特に相性がよいと感じています。

まとめ:インソールは「道具」、使う人次第

今日お伝えしたことを整理します。

  • 市販のインソールでも、足の形と目的に合ったものを選べば効果がある
  • 扁平足にはアーチサポート型、ハイアーチにはクッション重視型が向いている
  • 価格と効果は必ずしも比例しない。まず市販品で試してみることを推奨
  • インソールはあくまで補助具。足の筋力トレーニングと組み合わせてはじめて効果が出やすくなる
  • 痛みがある場合は、インソールより先に専門家への相談を

私自身、今はインソールを使ったり使わなかったりしながら、足の筋トレも続けています。「これが正解」という万能の答えはなく、自分の足と対話しながら調整していくものだと思っています。

あなたは今、インソールに何を求めていますか?「とにかく膝が痛い」「長距離で足が疲れやすい」「タイムを上げたい」、それぞれで選ぶべきものが変わってきます。

もし「自分の場合はどうすればいいの?」と思ったら、コメント欄で教えてください。できる範囲でお答えします。


次回は「ランニング後の足のケア、理学療法士が毎日やっていること」についてお届けする予定です。

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