走るだけでは、速くなれない。
これは、患者さんに何百回も言ってきた言葉だ。
でも、いざ自分のこととなると、なかなか実践できていなかった。
大阪マラソンで4時間10分という結果を受けて、私(KIMI)は改めて自分のデータを見直した。
- ピッチ:159spm(目標175)
- 接地時間:251ms(目標240)
- 上下動比:9.2%(目標8.5%)
この数字が示しているのは、「脚を使えていない走り」だ。
そして脚を使えない原因のひとつが、筋力不足にある。
50代の体は、何もしなければ毎年1〜2%ずつ筋肉が減っていく。
理学療法士として知っているのに、自分のことは後回しにしていた。
今回は、私が自分自身に「処方」した筋トレ5種目を紹介する。
ランナーとして、そして理学療法士として、本当に必要だと判断したものだけを選んだ。
なぜ50代のランナーに筋トレが必要なのか
走ることで足腰は鍛えられる——そう思っている人は多い。
確かに、有酸素能力や持久力は走ることで高まる。
でも「速く走る」ために必要な推進力・安定性・着地の衝撃吸収は、走るだけでは足りない。
特に50代以降は:
- 遅筋(持久系)は維持されやすいが、速筋(瞬発系)が先に落ちる
- 腱の弾性が低下し、バネを使えなくなる
- 股関節・体幹の安定性が落ち、無駄なエネルギーが増える
これらは、走り込みだけでは補えない。だから筋トレが必要なのだ。
筋トレ5選
1. シングルレッグスクワット(片脚スクワット)

ターゲット:大臀筋・中臀筋・大腿四頭筋
走っているとき、片脚で着地する時間は全体の約40%を占める。この片脚支持の安定性が、フォームの乱れ・膝の痛み・エネルギーロスに直結する。
やり方:
片脚で立ち、もう一方の脚を前に浮かせる。ゆっくり腰を落とし(床に平行まで)、膝が内側に入らないよう注意。左右10回×2セット。
最初はバランスが取れなくて当然。壁に軽く手を添えてOK。
2. ヒップスラスト

ターゲット:大臀筋(お尻)
走るときの推進力の約30〜40%は、お尻の筋肉(大臀筋)が生み出している。50代になるとここが特に弱くなりやすく、「後ろに蹴れない走り」になりがちだ。
やり方:
肩甲骨をベンチや低い台に乗せ、膝を曲げて仰向けに近い姿勢をとる。お尻を持ち上げ、腰・膝・肩が一直線になるところで2秒キープ。ゆっくり下ろす。15回×3セット。
台がなければ床で行うグルートブリッジでもOK。「お尻で押す」意識を持つこと。腰で反らないように。
3. カーフレイズ(ふくらはぎ強化)

ターゲット:腓腹筋・ヒラメ筋・アキレス腱
速い走りに欠かせないのが「弾む感覚」——これはアキレス腱の弾性によるものだ。50代になると腱の柔軟性・弾性が低下するため、意識的に鍛える必要がある。
やり方:
段差の縁に立ち、かかとを下げた状態からスタート。ゆっくりかかとを上げ、一番高いところで1秒キープ。ゆっくり下げる(下げるときが特に重要)。片脚15回×3セット。
「上げる」より「ゆっくり下げる」ことで腱が鍛えられる。アキレス腱炎がある場合は無理をしないこと。
4. デッドバグ

ターゲット:体幹深部(腹横筋・多裂筋)
体幹と聞くとプランクを思い浮かべる人が多いが、ランナーに必要なのは「動きながら安定する体幹」だ。デッドバグは、手足を動かしながら体幹を安定させるトレーニング。走行中の「腕振りに連動した体の揺れ」を防ぐ効果が高い。
やり方:
仰向けに寝て、両腕を天井に伸ばし、両膝を90度に曲げて浮かせる。右腕を頭上に伸ばしながら、左脚をゆっくり床に近づける。腰が床から離れないよう注意しながら元に戻す。反対側も同様に。左右交互10回×3セット。
腰が浮いたら負荷を下げる。「背骨を床に押しつける意識」を持つ。
5. バンドウォーク(ヒップアブダクション)
ターゲット:中臀筋・小臀筋
中臀筋は「ランナーの体幹」とも呼ばれる筋肉だ。ここが弱いと、着地のたびに骨盤が横に傾き、上下動が増え、エネルギーロスが大きくなる。私のGarminデータでいう「上下動比9.2%」の改善にも直結する種目。
やり方:
足首にミニバンドを巻く。膝を軽く曲げ、スクワットポジションで立つ。横に一歩踏み出し、もう一方の足を引き寄せる。10歩×左右3セット。
バンドがなければ、片脚立ちで骨盤の水平を保つ練習でも代替できる。「上半身がぐらつかない」ことが目標。
実践スケジュール
| 曜日 | メニュー |
|---|---|
| 月・木 | シングルレッグスクワット+ヒップスラスト+デッドバグ(約20分) |
| 火・金 | カーフレイズ+バンドウォーク(約15分) |
| 他 | ランニングの日 |
走る前後どちらでもOKだが、走行後の疲れた状態でのフォーム崩れを避けるため、私は走前に行っている。
まとめ
50代のランナーが速くなるには、走るだけでは足りない。今の体に必要な「筋力の土台」を作ることが、サブ3.5への近道だ。
今回紹介した5種目は、どれも器具なし(バンドウォーク以外)で自宅でできる。まず2週間、試してみてほしい。体の変化は、必ずGarminのデータに出てくるはずだ。
自宅トレーニングにあると便利なグッズ
今回の5種目はほぼ自重でできるが、ミニバンドとヨガマットがあるとトレーニングの質が上がる。私が実際に使っているものを紹介する。
ミニバンド(エクサバンド)
バンドウォークやヒップアブダクションに使用。強度別5本セットで段階的に負荷を上げられる。収納袋付きで持ち運びにも便利。
ヨガマット(厚手10mm)
デッドバグや床での体幹トレーニングに必須。薄いマットだと腰や骨盤が痛くなるため、10mm以上の厚手を選ぶのがポイント。
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