血糖値スパイクって、何が問題なの?
「血糖値スパイク」という言葉、最近よく耳にするようになりましたね。
簡単に言うと、食後に血糖値が急激に上がって、また急激に下がる現象のことです。まるでジェットコースターのように乱高下する状態を、英語で「spike(スパイク)」と表現します。
健康診断で「血糖値は正常範囲です」と言われていても、食後に血糖値が急上昇している人は意外と多い。しかもそれが、日々のパフォーマンスにじわじわと影響しているんです。
私自身、トレランの大会やウルトラマラソン、ナイト練やロングランのときに、走りながら急に眠気が来ることがよくありました。最初は睡眠不足のせいだと思っていたのですが、補給の取り方にも原因があるのかもしれないと考えるようになりました。食事とからだのパフォーマンスの関係を学ぶほど、「血糖値の安定」がいかに重要かを実感しています。
今回は、ランナー目線で血糖値スパイクを考えてみます。補給食の取り方と、普段の生活でできる工夫を一緒に見ていきましょう。
血糖値スパイクが起きると、からだはどうなる?
血糖値が急上昇すると、からだはそれを下げようとインスリンを大量に分泌します。インスリンが過剰に出ると、今度は血糖値が急激に下がりすぎる。この「急上昇→急降下」のサイクルが問題です。
血糖値が急に下がるときに起きるのが、眠気・集中力の低下・倦怠感・手の震えなど。ランナーにとっては「急に脚が動かなくなる」「後半に失速する」という形で現れることもあります。また、補給食を一度に多く摂って血糖値が急上昇すると、今度はそれに反応して眠気が起きることもあります。走りながらうとうとしてしまう場合は、補給のタイミングや量を見直すサインかもしれません。
さらに長期的に繰り返すと、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が高まり、エネルギー代謝が乱れやすくなります。からだが脂肪をエネルギーとして使う効率も落ちるため、長距離ランナーにとっては特に避けたい状態です。
理学療法士の視点で付け加えると、血糖値の乱高下は炎症を促進する方向に働きます。疲労回復が遅くなったり、慢性的な怠さが続いたりする背景に、食後の血糖値スパイクが関係していることがあります。
ランナーが特に気をつけたい:補給食の取り方
走る前の補給——糖質の「タイミング」と「種類」が重要
レース前や長距離練習前に、エネルギー補給のためにバナナやおにぎりを食べる方は多いと思います。これ自体は正しい判断です。ただし、タイミングと種類に注意が必要です。
スタート直前(30分以内)の糖質補給はスパイクを起こしやすい。
走り出す直前に糖質を摂ると、血糖値が上がりきったタイミングで運動が始まり、インスリンが急激に分泌されます。その結果、走り始めてすぐに血糖値が下がりすぎる「反応性低血糖」が起きることがあります。「序盤から脚が重い」「最初から調子が出ない」という経験がある方は、このパターンが原因かもしれません。
推奨タイミング:スタートの1〜2時間前に食事を済ませる。どうしても直前に何か食べたい場合は、消化の早いものを少量(バナナ半分、スポーツドリンク少量など)にとどめましょう。
走中の補給——「補いすぎ」に注意
ハーフ以上の距離を走るとき、途中で補給ジェルやスポーツドリンクを摂ることは必要です。ただし、「エネルギーが心配だから」と頻繁に摂りすぎると、走りながら血糖値スパイクを繰り返すことになります。
一般的な目安は、60〜90分以上の運動では30〜45分ごとに少量ずつ。一気に大量に摂るより、少量をこまめに補う方が血糖値を安定させやすいです。
補給ジェルは吸収が速い分、血糖値も上がりやすい。私は練習中、ジェルだけでなくソフトブロック(噛んで食べるタイプ)や黒糖、塩バナナなど、吸収速度が少し緩やかなものを組み合わせるようにしています。
走後の補給——「ゴールしたらすぐ糖質」は正しいの?
「運動後30分以内に糖質+タンパク質」というのはスポーツ栄養の基本ですが、これも量とバランスが大事です。
ゴール直後に疲れた状態で大量に甘いものを食べると、血糖値スパイクが起きやすい。少量の補給(バナナ1本、おにぎり1個程度)でグリコーゲン補充を始めて、落ち着いてからバランスの取れた食事を摂るのが理想的です。
普段の生活で血糖値スパイクを防ぐ5つの習慣
① 食べる順番を意識する
「ベジファースト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。食事の最初に野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を食べることで、後から食べる糖質の吸収を緩やかにする方法です。
順番の目安:野菜・汁物 → タンパク質(肉・魚・卵) → 炭水化物(ごはん・パン)
最初にごはんをかき込まない、というだけでも違います。
② 食べる速度をゆっくりにする
早食いは血糖値スパイクを起こしやすい大きな要因のひとつです。よく噛んで食べることで消化吸収の速度が落ち、血糖値の上昇が緩やかになります。
目安は一口30回。最初は意識的にやらないとできませんが、習慣になると自然にゆっくり食べられるようになります。私も仕事の昼休みは短いので意識しないと早食いになりがちで、いまも練習中です。
③ 空腹時間を長く作りすぎない
「忙しくて昼ごはんを抜いた→夕食を一気に食べた」というパターンは、血糖値スパイクを最も起こしやすい食べ方のひとつです。
空腹状態から一気に食べると、血糖値が急上昇します。できれば食事の間隔を4〜6時間以内にとどめ、どうしても食事が遅くなる日は、間食でナッツや小さなおにぎりを挟んで血糖値を安定させる方法が有効です。
④ 朝食を抜かない
朝食を抜くと、昼食後の血糖値スパイクが大きくなることがわかっています(セカンドミール効果の逆)。ランナーの場合、朝練後にそのまま朝食を抜くと、昼以降のパフォーマンスにも影響します。
忙しい朝でも、小さくてもいいので何か食べる習慣を作ることをおすすめします。卵1個・ヨーグルト・バナナでも十分です。
⑤ 食後に少し動く
食後10〜15分の軽いウォーキングが、血糖値スパイクを抑えることは研究でも示されています。激しい運動は不要です。食後にソファで横にならず、少し歩くだけで違います。
「食後すぐ休む」習慣がある方は要注意。特に夕食後にそのまま就寝準備に入ると、血糖値が高い状態で寝ることになります。
私が毎日意識していること
正直に言うと、全部完璧にはできていません。仕事が立て込むと昼食が遅くなることもあるし、疲れた日の夜は食べる順番なんて気にする余裕もなくなることがあります。
それでも習慣として続けているのは、朝食を抜かないこと・食後に少し歩くこと・補給食を一気に食べないこと・食べるもの・飲むものが血糖値を上げやすいか上げにくいかを意識しておくことの4つです。
この4つだけでも、練習後の疲労感や翌日のからだの重さがずいぶん変わってきました。特に食後のウォーキングは、私の場合は愛犬の散歩タイムと重なるので自然と続けられています。
サブ3.5を目指す中で、トレーニングと同じくらい食事の質が大事だと実感しています。走る量を増やすだけでなく、からだの内側を整えることが、結局は一番の近道だと思っています。
おすすめアイテム
記事の中で紹介した補給食や間食として参考にしてみてください。
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まとめ
- 血糖値スパイクは、急上昇・急降下の繰り返しでからだにダメージを与える
- 走る直前の補給はスパイクを起こしやすい——1〜2時間前に済ませるのが基本
- 走中の補給は少量をこまめに。一気食いは避ける
- 普段の食事では、食べる順番・速さ・抜食を避けることが大切
- 食後の軽いウォーキングが、血糖値スパイク予防に効果的
次回は「タンパク質編」として、ランナーが本当に必要なタンパク質の量と摂り方についてお話しします。
走るからだをつくるのは、毎日の積み重ね。一緒に整えていきましょう!


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