私のピッチは、159spm。
ロードのレースで速い選手を見ると、たいてい175〜180spm以上で走っている。
その差、16〜21歩/分。
数字だけ見れば「ちょっと足を速く動かせばいいだけ」に思える。
でも、体の中では何が起きているのか。
30年以上、理学療法士として体の動きを見てきた私が、自分自身を患者として分析してみた話をしようと思う。
私はふだん、トレイルを走ることが多い。
山道は地面が不安定で、自然と歩幅が小さくなり、体重心を低く保つ走り方になる。
でもロードは違う。
路面が平坦で硬い。スピードを出しやすい反面、「トレイルで染みついたフォーム」をそのまま持ち込むと、効率の悪い走り方になってしまう。
大阪マラソン(4時間10分)のデータを見て、それが明確になった。
私のフォーム、3つの課題
① ピッチ:159spm(目標175spm)
ピッチとは1分間の歩数のこと。
159spmは、ロードレースの基準からするとかなり低い。
ピッチが低いということは、1歩1歩の歩幅(ストライド)が長くなっている。
一見「大きく走れている」ように見えるけれど、歩幅が広すぎると重心より前に足が着地してしまい、ブレーキをかけながら走ることになる。
理学療法士として言うと、これは「前に倒れそうになるのを足で受け止めている状態」。
推進力ではなく、制動力になってしまっている。
② 接地時間:251ms(目標240ms)
接地時間とは、足が地面に触れている時間。
エリートランナーは200ms以下のことも多い。
接地時間が長いということは、地面に体重をかけている時間が長いということ。
これは「地面を押して進もうとしている」動きに近い。
本来、速い走りは「地面から弾む」感覚に近い。
バネのように、短い時間で地面の反力をもらう。
そのためには、足首・膝・股関節が連動して「弾性エネルギー」を使える状態が必要になる。
③ 上下動比:9.2%(目標8.5%)
上下動比とは、走っているときの上下の揺れが、ストライドに対してどれくらいあるかの割合。
9.2%は、上に使っているエネルギーがまだ多い状態。
速く走るためのエネルギーは「前への推進力」に使いたい。
上下動を0.7%削れれば、その分だけ前に進む力が増える。
3つの課題に対して、今やっていること
ピッチを上げるには「音を小さくする」
ピッチ改善の練習で一番効果が出やすいのは、足音を意識して小さくすること。
足が地面に「ドン」と当たるとき、それはブレーキをかけているサインでもある。
「スッ、スッ」と音が消えていくような着地を意識すると、自然とピッチが上がり、接地時間も短くなっていく。
トレイルで身についた「静かに着地する」感覚は、ここではむしろ活かせる。
接地時間を短くするには「弾む感覚」を取り戻す
その場で軽くジャンプして、なるべく素早く地面から離れる練習(バウンディング)が効果的。
難しく考えなくていい。
縄跳びを軽く跳ぶような感覚を、走りながら持てるかどうかがポイント。
50代になると、腱の弾性(アキレス腱や足底腱膜の弾む力)が落ちてくる。
だからこそ、意識的に「弾む動き」を練習に組み込む必要がある。
上下動を減らすには「前傾」と「視線」
上下動が大きい人は、体が起き上がりすぎていることが多い。
骨盤から上体をほんの少し前に傾け、視線を少し先(5〜10m)に向けることで、自然と重心が前に移動し、上下の無駄な動きが減っていく。
「腰から倒れ込むように走る」というイメージが近い。
倒れないために足が出る、そのリズムが理想的なフォームに近づく。
まとめ
フォームは一気に変えようとしない方がいい。
理学療法士として何百人もの動作改善に関わってきた経験から言うと、「意識が体に馴染むまでには時間がかかる」。
焦って全部一度に変えようとすると、どこかが崩れる。
まず一つに絞って、2〜3週間かけて体に覚えさせる。
今の私は、ピッチ改善(159→165spm)を5月の最優先テーマにしている。
接地時間と上下動は、ピッチが安定してきたら自然と連動して改善されるはずだから。
丁寧に、だけど本気で。
フォームを変えた先に、サブ3.5がある。
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