AIには、私の体と心は整えられない|身軽な暮らしに残したヨガとランニング

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持ち物を減らし、資産を整理し、長く住んだ家まで手放してきました。「54歳からの身軽な暮らし」と題して書いてきたこのシリーズも、ずいぶん遠くまで来たなと思います。そして身軽になっていく最後の段階で、私は趣味も一度ぜんぶ見直しました。

登山やキャンプの道具は手放しました。あれもこれも、と広げていたものを整理して、最後に手元に残ったのは、たった2つ。ヨガとランニングです。今日は、なぜこの2つだけは手放さなかったのか――その理由を、今の時代のことと絡めて書いてみようと思います。

AIが何でもやってくれる時代に、最後に残る「人間の仕事」

最近つくづく感じるのですが、世の中はものすごい速さで変わっています。少し前まで人間が時間をかけてやっていた事務的な作業を、今はAIがあっという間にこなしてくれるようになりました。文章を書く、調べる、まとめる、計算する――そういった仕事は、これからどんどんAIに任せられるようになっていくのだと思います。ちょっとした産業革命が、今まさに起きているのだと感じます。

便利だなあと思う一方で、ふと立ち止まって考えるのです。では、最後に人間にしかできないことは何だろう?と。

私なりに出した答えは、とてもシンプルでした。それは、自分自身の身体と心を整えることです。どれだけAIが賢くなっても、私の代わりに走ってくれるわけではありません。私の代わりにヨガで呼吸を深めて、こわばった体をほどいてくれるわけでもありません。自分の体と心だけは、どこまでいっても、自分でしか整えられないのです。

事務作業はAIに任せていい。むしろ、どんどん任せたらいい。でも、その分浮いた時間で人間がやるべきことは、自分の体と心の手入れなのではないか。そう考えたとき、私の中で「残すべきもの」の輪郭が、はっきりしてきました。

お金でも、AIでも、買えないもの

世間では今、FIRE(ファイア)やセミFIREという生き方が流行っています。早くにリタイアして、あとは貯えた資産で自由に暮らす、という考え方ですね。お金の心配から解放される――たしかに、とても魅力的に聞こえます。

でも、ここで忘れたくないことがあります。世の中には、お金を出しても買えないものが、実はたくさんあるということです。若さ、体力、集中力。どれも、お金を積んだからといって、そのまま手に入るものではありません。

一方で、頭の良さや知能のほうは、これからはAIが大いに助けてくれます。だから、そこは遠慮なくAIに頼ればいいと思っています。……と書いていて気づきました。あっ、若さのほうは、最近はお金である程度手に入る時代かもしれませんね(笑)。

それでも、筋肉と心肺機能ばかりは、さすがにどこにも売っていません。AIが代わりに鍛えてくれるわけでもありません。これだけは、自分の体を実際に動かして、自分で少しずつ作っていくしかないのです。お金でもAIでも肩代わりできない、数少ない「自分にしかできない仕事」。それが、体づくりなのだと思います。

だから、ヨガとランニングは手放さなかった

このシリーズで何度か書いてきたように、私がものを手放すときの基準は「好きかどうか」ではなく、「今、実際にやっているかどうか」です。どんなに好きでも、今やっていないものは、これからもやらない。そう割り切って、たくさんの道具を手放してきました。

その基準で見たとき、ヨガとランニングだけは、今もちゃんと続いていました。やめようと思ったことがない。むしろ、歳を重ねるほど「これは続けていきたい」と思いが強くなっている。だから残した――というより、残った、という感覚に近いかもしれません。

そして理学療法士として30年、たくさんの方の体と向き合ってきた経験からも、この2つは「これからの自分を守ってくれるもの」だと確信しています。自分の足で立ち、自分のことを自分でできる体を、できるだけ長く保つこと。そのために、ヨガとランニングほど頼りになる習慣はないと思っています。

この2つが「身軽な暮らし」と相性がいい理由

もうひとつ、ヨガとランニングを残した大きな理由があります。それは、どちらも「身ひとつ」でできることです。

登山やキャンプは、たくさんの道具があって初めて成り立つ趣味でした。道具をそろえ、手入れをし、しまう場所も必要になります。身軽になりたい今の暮らしとは、正直、相性がよくありませんでした。

その点、ランニングはシューズさえあれば、玄関を出た瞬間からどこでも始められます。ヨガにいたっては、マット一枚と自分の体があれば十分です。大きな道具もいらず、しまう場所にも困らない。引っ越して新しい暮らしが始まっても、場所を選ばずに続けていける。身軽な暮らしに、すっと馴染んでくれるのです。

持ち物が少なくなっても、自分の体さえあればできること。それが、これからの私の「軸」になっていくのだと思います。

正直に言うと、私は一人では続けられない

ここまで読むと、「家で一人で黙々とトレーニングしている人」を想像されるかもしれません。でも、正直に打ち明けると、私はそういうタイプではありません。家で一人で自主トレを続けられるほど、強いメンタルは持っていないのです。

一人だと、つい「今日はいいか」とサボってしまう。だから私は、自分を続けさせてくれる「場」と「仲間」を、意識して残すようにしています。

ヨガは、ヨガスタジオに通っています。決まった時間に予約をして、先生がいて、同じ空間で体を動かす仲間がいる。その環境があるから、私はちゃんと続けられます。ランニングも同じで、一人で走る日もありますが、仲間と一緒に走る時間が、私にとっては何よりの楽しみです。最近は、山道を走るトレイルランニング(トレラン)も楽しんでいて、自然の中を仲間と走る時間は、体だけでなく心まで深く整えてくれます。

体と心を整えるのは、たしかに自分にしかできないこと。でも、その「自分」を支えてくれるのは、やっぱり人とのつながりなのだと思います。身軽な暮らしを目指してものは減らしても、人とつながれる場所だけは、しっかり残しておきたい。これは、私にとって大切な気づきでした。

まとめ|任せられることは任せて、自分の体と心は自分で

これからの時代、AIに任せられる作業は、どんどん任せていけばいいと思います。便利なものを上手に使うのは、身軽な暮らしにもつながります。でも、それで生まれた時間や心の余裕を、ぜひ自分自身の体と心を整えることに使ってほしい――私はそう思っています。

どれだけ世の中が便利になっても、自分の体と心だけは、自分でしか整えられません。だからこそ私は、たくさんの趣味を手放しても、ヨガとランニングだけは持っていくと決めました。身ひとつでできて、場所を選ばず、そして仲間と一緒に楽しめる。これからの暮らしを、軽やかに支えてくれる2つです。

身軽になった分だけ、自分の体と心に、ていねいに向き合える。そう信じて、私は今日もマットを広げ、靴ひもを結びます。

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