奈良ウルトラマラソンは、スタートラインに立つ前からすでにレースが始まっていた気がする。
第1回大会ということで前例がない。しかも奈良という近畿圏内で開催される100kmのウルトラマラソン。関西ランナーの間では、かなり注目されていた大会だった。
私の周りにもエントリーした人が多く、ボランティアで参加する人、試走に行ってきた人、応援に行く人など、何らかの形で奈良ウルトラに関わる人が多かった。走る人だけでなく、周りのランナー仲間も含めて、少しずつ大会に向かっていく感じがあった。
関西で開催される100km。しかも奈良の中南部を走るコース。どんな坂があるのか、暑さはどれくらいか、補給は足りるのか、装備は何を持つべきか。Threadsで「#奈良ウルトラマラソン」を追っていると、ランナーたちがそれぞれの準備をしながら、少しずつ本番へ気持ちを合わせていく様子が伝わってきた。

試走で一気に不安が増した
5月上旬には、奈良ウルトラマラソンを試走した投稿で「マジでヤバい」という率直な感想が出ていた。私も3分割に分けた試走コースの前半と後半に行ったが標高の高い頂上はないものの、微妙に走れるアップダウンが続く、特に日陰が少なく思えこれは日中晴れればやばいなあと。それに伴い関門だ。累積標高はあるのに制限時間が14時間半、それも関門が設けられそれを突破できるかという不安も コース図を眺めているだけでは分からない、実際に100キロを走ってみないとわからない怖さがあった。
前半の試走の様子はYouTubeにもまとめています。コース序盤の雰囲気や、実際に走ってみて感じたアップダウンのきつさは、動画で見るとより伝わると思います。
試走情報を見るほど、「これは普通の100kmではなさそうだ」という空気が濃くなっていった。ほとんど平地がない、坂が多い、長い階段がある。そんな言葉が飛び交い、ランナーをじわじわ不安にさせていく。
その不安もあって、実際に試走へ行く人も多かったように思う。第1回大会で情報が少ないからこそ、SNSで流れてくる試走投稿は貴重だった。自分で走って確かめた人の感想が、ほかのランナーの準備にも影響していた。
暑さと坂、どちらも対策が必要だった
大会1か月前には、暑熱順化を意識して昼の時間帯に坂練も入れた。暑さ自体は何とかなるとしても、上り下りで脚に疲労が出る。私が実施に行ったのは大阪の箕面駅から妙見山山頂までの往復40キロ、これは累積標高も取れ絶好の峠走になった。 奈良ウルトラの準備は単に距離を踏むだけでは足りず、暑さ、坂、脚づくりをセットで考える必要があったのだと思う。
暑さ対策に関しても不安は大きかった。5月開催とはいえ、時期としてはほぼ6月。体がまだ暑熱順化しきっていない状態で、日中を走り切れるのか。例年通りの暑さになったらどうするのか。前日までの予想気温「当日は30度を超えそう」という不安や、塩ジェル、塩タブレットを多めに持つ準備が見られた。
暑さと坂。この2つが、大会前の準備期間でずっと頭に残っていた。
装備選びは最後まで悩ましい
参加賞Tシャツを実際に着て走り、速乾性や汗抜けを確認している人がいた。(この参加Tシャツに関しては、もらえた人ともらえなかった人で少し波紋もあった。ちなみに私はタオルだった。)
ウェアでは、tシャツを着るのかランニングにするのかは最後まで迷うところであったが、晴れ予報であったために日焼けを防止するためにもTシャツにした。袖なしのランニングシャツは熱の籠りは防げるが肩の部分が焼けやすく、特にロードの多いウルトラマラソンでは日陰になる場所が少ない。日焼けをすると女子的にもダメージであるが、エネルギーの消耗となるためにTシャツは正解であった 今回は協賛がノースフェースだったのでノースフェースを購入。これが涼しくてこの夏の必須アイテムになりそうだ 今回ハーフタイツで行くか、ランパンで行くか迷っている人もいた。私は短パンのランパンこれもノースフェース ウエストにメッシュポケットがついていて便利。生地もサラッとしている。
今回使ったウェアはこちら。
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ザックを背負うか、ザックなしで行けるか、ウエストポーチで行くかも大きなお悩みポイントだった。 私は今回ウエストポーチだったのだが、500mlのボトルとジェルを5個それに携帯と色々なキットを持つとウエストでは負担であった
暑さを考えるとザックは避けたかったのでウエストポーチだったが 第1回大会なので、エイドに十分な水分や食べ物があるのかは走ってみるまで分からない。近年、ほかの大会で「エイドの水分がなくなった」「提供されるものが売り切れていた」という話を聞くこともあり、その不安が的中
関門ファイターになったこともあり、エイドの柿の葉寿司やそうめんなど、炭水化物系にはほぼありつけなかった。ほとんどエイドで提供されるお菓子で乗り切った。
もちろんジェルも持っていたので、ガス欠になるようなことはなかった。お菓子もたんまり出してくれていた。ただ、ザックで自分のお気に入りのおにぎりやパンを持って走ってもよかったな、という後悔はある。第1回大会でエイドの実際の様子が分からなかったからこそ、補給の持ち方は難しかった。
ウルトラマラソンは、当日の走力だけでなく「何を身につけて、何を持つか」も完走に直結する。
スマホは記録用でもあり、お守りでもある
スマホを持つかどうか、という話も興味深かった。
写真を撮りたい。緊急時の連絡用に持ちたい。でもバッテリーが心配。飛行機モードにする、Wi-Fiを拾わないようにする、という実践的なやり取りもあった。
100kmの間、スマホは記録用でもあり、お守りでもある。ただ、トレイルの大会のような必携装備ではないので、ここも迷いどころだった。
シューズ選びも最後まで決まらない
大会当日のシューズ選びも最後まで迷った。
膝の故障を抱えていたので、ヨネックスのカーボンシューズで脚が持つのか。それともホカのクッション柔らかめの靴で行くのか。
結果として、カーボンシューズで行ったのは間違いではなかったと思う。膝もある程度持ってくれたし、そもそもゆっくりしか走らなかったので、どちらでも大きくは変わらなかったかもしれない。
それでも、大会前に最後まで迷うのがシューズだ。100kmでは、少しの違和感が後半に大きく響きそうで怖い。
今回、最後まで迷ったのはこの2足。
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交通手段と睡眠も準備の一部
交通や応援の情報も、大会前ならではだった。
公式サイトのアクセス情報を確認すると、会場は藤原宮跡。公共交通機関で向かう場合、駅から会場までの無料シャトルバスは予定されておらず、最寄りの大和八木駅からは徒歩約40分と案内されていた。
ただし、これは「無料シャトルバス」の話。別途、座席定員制・事前申込制の直行ツアーバスがあり、近鉄大和八木駅からは3時発で藤原宮跡へ向かう便が設定されていた。なので「大和八木駅からバスがなかった」というより、「誰でも乗れる無料シャトルはなく、申し込んだ人向けの直行ツアーバスはあった」という整理が正しい。
公式アクセス情報の要点
・大会会場:藤原宮跡 ・公共交通機関利用の場合、最寄りの大和八木駅から会場までは徒歩約40分 ・駅から会場への無料シャトルバス運行はなし ・事前申込制の直行ツアーバスはあり ・直行ツアーバスは、近鉄大和八木駅3時発 → 藤原宮跡の便が設定されていた ・大会指定駐車場は、イオンモール橿原または橿原運動公園のいずれか ・指定駐車場から大会会場行きの無料シャトルバスあり ・当日タイムラインでは、駐車場オープン1:00、会場行きシャトルバス開始1:30、会場行きシャトルバス終了3:45
出典: 奈良ウルトラマラソン公式サイト アクセス情報 https://www.r-wellness.com/nara/access/
直行ツアーバスのご案内 https://www.r-wellness.com/nara/news/260327/
ランナーナビ https://www.r-wellness.com/nara/schedule/
駐車場からバスが出るということで、関西からは日帰りで行ける。駐車場のオープンが1時からだったので、早めに到着して仮眠し、会場までのバスに乗る人もいた。
大和八木駅近辺のホテルを取り、そこからバスで大会会場に入る人。もう少し離れた場所で宿を取り、タクシーを予約して会場に向かう人。ほかのウルトラマラソンと違って、田舎だけど完全な田舎ではない。そこそこ都会でもあるので、いろいろな方法があったようだ。
ただ、前日夜からみんな移動でウロウロしていたので、大概の人が寝不足だったのではないかと思う。これは私にとって、今回の一番の敗因だった気がする。
走る準備というと、練習や装備ばかり考えがちだけれど、100kmでは睡眠も立派な準備だった。
第1回大会をみんなで作っている感じがあった
試走や準備期間の過ごし方を、ランナーたちがSNSで次々に発信していた。第1回大会で情報は少なかったけれど、そのぶんみんなで情報を持ち寄っている感じがあった。
試走でコースの厳しさを知る。暑さに慣れる。装備を試す。補給を考える。スマホを持つか悩む。シューズを迷う。交通手段を確認する。
ひとつひとつは小さな準備だけれど、その全部が当日の自分を助ける。
みんなが「100kmを走る準備」をしているようで、実は「第1回奈良ウルトラマラソンを一緒に作っている」ようでもあったということだ。
走る前からすでに楽しかったし、走る前からもう十分にウルトラだった。


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